2016年1月7日木曜日

七草粥とジアスターゼ

 七草粥は1月7日の朝に食べるのが本当らしいが、我が家の朝は時間との勝負なので、七草粥は夕食のメニューとなる。でも毎年7日お昼の病院食は七草粥で、もちろん今日の昼食もそうだった。正直言うと夕食は普通の白米を食べたかったかも。
 さてこの七草粥、お正月のご馳走で弱った胃を休めるためだとか。七草のスズナ(カブ)、スズシロ(大根)にはジアスターゼという消化酵素が含まれてる。そういえば、お餅を食べる時大根おろしをつけて食べると胃もたれしない、という話を聞いたことがある。

 明治27年に高峰譲吉は酒造りに使う麹菌からジアスターゼを抽出して、これを消化薬「タカジアスターゼ」としてアメリカで売り出したところ大成功。ジアスターゼは世界中で愛用されるようになったとのこと。
  実は、「吾輩は猫である」にもこのタカジアスターゼを飲む様子が出てくる。夏目漱石自身も胃潰瘍に悩まされこの薬を飲んでいたそう。
 
輩の主人は滅多めったに吾輩と顔を合せる事がない。職業は教師だそうだ。学校から帰ると終日書斎に這入ったぎりほとんど出て来る事がない。家のものは大変な勉強家だと思っている。当人も勉強家であるかのごとく見せている。しかし実際はうちのものがいうような勤勉家ではない。吾輩は時々忍び足に彼の書斎をのぞいて見るが、彼はよく昼寝ひるねをしている事がある。時々読みかけてある本の上によだれをたらしている。彼は胃弱で皮膚の色が淡黄色たんこうしょくを帯びて弾力のない不活溌ふかっぱつな徴候をあらわしている。その癖に大飯を食う。大飯を食ったあとでタカジヤスターゼを飲む。飲んだ後で書物をひろげる。二三ページ読むと眠くなる。涎を本の上へ垂らす。 
      引用元 夏目漱石 『吾輩は猫である』
 
 


 世界的大ヒットとなった「タカジアスターゼ」を開発した高峰譲吉は、この他にも「アドレナリン」の発見というこれまた偉大な業績を残しているが、この辺りのことはこちらの本にも詳しく紹介されている。
 
 
 
『ニッポン天才伝 知られざる発明・発見の父たち』 上山明博著 朝日新聞出版
 

 

 最後に、ジアスターゼは医療現場ではアミラーゼと呼ばれている。アミラーゼはデンプン分解酵素で、私たちの体では唾液と膵臓から出る膵液に含まれるお馴染みの酵素だ。
 

 
 

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